菌の物語

第10巻
第1話腸内細菌NG習慣ベスト5!

「菌の物語」では、これまでに、腸内細菌や発酵食品の重要性を様々な角度から皆様にお伝えしてきました。今回は腸内細菌にとって良くないとされる、代表的なNG習慣を5つ書きたいと思います。皆さんはいくつ当てはまりますか?

  • 1.「忙しいとつい、食事のメニューが偏りがちに。」

    1,000種類以上の細菌から構成される腸内フローラ。健康な体のためには、この腸内細菌の多様性が重要です。毎日同じような食事では、腸内細菌のエサの単一化にも繋がり、腸内フローラの多様性が低下してしまう原因にもなります。特に、腸内細菌のエサになる発酵食品や食物繊維が足りないメニューはNGです。

  • 2.「お酒大好き!そしてついつい飲みすぎる…。」

    「酒は百薬の長」といって、昔から少量のアルコールは体に良いとされてきました。しかし、アルコールを摂り過ぎると、大腸菌などの悪玉菌が増え、腸内で作られる毒素が増える要因になります。それらの毒素によって腸管のバリア機能が破壊されると、うまくアルコールを分解することができず、肝臓や腎臓にも大きな負担がかかりますので、過度なアルコールはNGです。

  • 3.「運動はほとんどしない。」

    運動不足は、腸内環境にとっても良くありません。適度な運動は血流を促し、酸素を全身に巡らせ、体に刺激を与えます。気持ち良いと思える程度の運動は自律神経にも良い影響を与え、腸の活性化にも繋がります。30分程度のウォーキングやラジオ体操、ストレッチなど、軽めの運動から無理のない範囲で取り組んでみましょう。

  • 4.「ついつい夜更かししてしまい、睡眠不足になりがちに。」

    睡眠不足になると、心身に様々な悪影響を与えます。その悪影響の一つが、副交感神経系の働きが制限されることで起こる、胃腸などの消化器官の働きへの影響です。胃や腸の働きが悪くなると、腸内では食べ物の消化や吸収がうまく出来なくなります。そして、睡眠中には成長ホルモンが分泌され、多くの細胞の修復や再生が行われますが、そうした細胞の修復作業も制限されてしまいます。腸内で食べ物の消化・吸収が上手く行かなくなると、食べ物のカスが大量に発生し、食べカスが腸内に生息する悪玉菌のエサになり、悪玉菌が増殖する原因ともなるのです。

    しかし、中には、寝たいけど眠れない…という方もいるのでは?夜になると眠くなるのは、睡眠ホルモンの「メラトニン」が働くためですが、そのメラトニンの生成には、腸内環境が大きく関係しています。体内に取り込まれたタンパク質は、腸内細菌によって分解・合成され、「トリプトファン」という物質を作り出します。このトリプトファンこそが、メラトニンの生成に必要不可欠なものなのです。

    つまり、多種多様な腸内細菌であるほど、睡眠ホルモン・メラトニンの生成は活発になり、質の良い眠りに繋がる、というわけです。質の良い睡眠のカギを握るトリプトファンですが、残念ながら人は自発的にトリプトファンを生成することができません。そこで大事になってくるのがやはり「食事」です。トリプトファンが作られる腸内環境にしていくためには、「発酵食品」を食べましょう。

  • 5.「漫然と抗生物質を飲み続けている。」

    病原菌の撃退に欠かせない抗生物質。しかし抗生物質の多用は、害のない菌まで死滅させてしまい、正常な腸内フローラを乱す要因にもなります。医師に指示された服用期間をきちんと守り、必要以上に飲み続けることはやめましょう。

いかがでしたでしょうか?偏りのない栄養バランスの良い食事・適度な運動・休息など、生活習慣を少し整えるだけでも腸内環境に良い影響をもたらします。腸を健康に保つことはストレスにも強くなり、健康や美容にも効果的です。