菌の物語

第9巻
第5話お粥試し -粥に生えたカビで一年の吉凶を占う-

「お粥試し」とは、佐賀県にある千栗八幡宮で、神亀元年(724年)から1300年続く伝統行事です。千栗八幡宮は、南北朝時代には当宮の西に千栗城が築かれ、戦国時代には神域も度々戦乱に巻き込まれ幾度か社殿も焼失してしまいましたが、後に領主龍造寺氏、鍋島氏によって社殿の再興、社領の寄進が行われた神社です。

米どころである佐賀県では、各地にお粥についたカビで吉凶を占う神事が伝わっていました。中でもこの千栗八幡宮に伝わる「お粥試し」は、日本三大粥祭にも数えられている歴史ある伝統行事です。2月26日に社前の祓川の水で粥を炊いて神器に盛り、箸を十文字に渡し東西南北に分け、(筑前、筑後、肥前、肥後の4か国に国分けをする)お粥に生えるカビの生え具合から1年間の天候や農作物の出来具合、その他、地震・台風等の吉凶などを占うのです。これは毎年3月15日の早朝から一般公開され、多くの方が見物に訪れるのだとか。

1300年も続く伝統の占いが、菌が主体となって行われるとは、先人たちは、菌が宇宙エネルギーを素直にキャッチすることを知っていたのでしょう。今年はどのような一年になるのでしょうか?カビの生え方に注目ですね。