菌の物語

第3巻
第2話「幸せ」は腸から始まる

昔から「断腸の思い」「が煮えくりかえる」「肚をくくる」などの諺があるように、先人たちは感覚的に、腸の状態が、メンタル面に大きな影響を与えることを知っていました。

私たちがリラックスして、感情や気分のコントロールができて、精神が安定し、いわゆる「幸せ」だと感じるとき、脳からは「幸せホルモン」とも呼ばれる「セロトニン」が分泌されます。この「セロトニン」は、消化、吸収、排便、体温調節が円滑に進むようにも調整してくれています。セロトニンが不足すると、イライラ、うつ病、睡眠障害、脳の機能が低下し、心のバランスが崩れるといった、精神に大きく影響するホルモンなのです。実はこのセロトニン、体内にはスプーン1杯分(約10ミリグラム)しかないのです。そして、そのセロトニンは90%以上が腸内で分泌されると言われ、脳にはわずか2%しかありません。

この「幸せホルモン」をきちんと分泌させるには、腸内細菌のバランスを整えてあげなければなりません。バランスが崩れると、セロトニンが作られず、切れやすくなったり、無気力になったり、鬱になったりと、様々なメンタル面の不調が出てきます。

良質な発酵食品をたっぷりととることで、腸内細菌が活性化し、ストレスにも強くなっていきます。「第二の脳」と呼ばれる「腸」を大切にすることこそ、心と体の健康を保つために必要なのです。

「健全な精神は健全な肉体に宿る」――ユベナリス