メガヘルス通信
前回は離乳食スタート編の記事を書きました。我が家の場合、離乳食を始めたのは生後5ヶ月からですが、そもそも母乳やミルク以外の「食べ物」に赤子が初めて触れたのは「お食い初め」という儀式でした。お食い初めは「百日祝い」とも呼ばれ、伝統的には生後100日頃に行われるお祝いで、赤ちゃんが一生食べ物に困らないようにという願掛けとともに、100日間無事に成長したことを感謝する意味合いもあります。その起源は平安時代に遡ると言われており、古くは「平家物語」にも東宮のお食い初めを執り行ったとの記載があるほど、古来より日本人に大切にされてきた儀礼です。
お食い初めでは「養い親」という役目の人を決め、赤ちゃんの口に歯固めの石を当てて貰ったり、お祝い膳の食べ物を口に近づけて食べさせる真似事をして貰います。赤ちゃんが長寿に与れるように、この役目は親族の中で赤ちゃんと同性の年長者が依頼されることが多いようです。我が家の場合は、幸運にも緊急事態宣言など出される前の時期だったので、古希の年を迎えた祖父(私の父)に頼みました。とはいえ、最近はコロナだ自粛だと、外出や高齢の方をご招待することが難しいタイミングも多いので、これからの時代は赤ちゃんより年長であれば両親がこの役目を担っても良いのではないかと思います。
もう大人になった私たちにはわからなくなってしまった感情ですが、我が子は歯固めの石や初めて出会う食べ物が近づいてくるたびに声を上げて泣きました。どうも、未知との遭遇におそれを感じたようです。息子はあまり初めての人に会ったり新しいことにチャレンジしたりすることで泣くことのない子なので、この食べ物への反応には私の方が微笑ましく思いながらも驚いてしまいました。しかし、よく考えてみれば「食べること」は生命活動と直結し、生き死にをも左右する人間の根源的な営みです。それを直感的に恐れる・・・というより「畏れる」と言った方が近いかもしれませんが、特別な反応を見せた赤ちゃんの本能は神秘をも感じるほどでした。