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メガヘルス通信

2020/11/16vol.32 離乳食アレコレ~スタート編~

生後5ヶ月、離乳食開始から間もない頃の様子。受け皿の付いたシリコンビブを首に付けると
食べ物が上手く口に入らなくても周りが汚れず便利。

 今回はきっと誰もが食べたことのある「離乳食」についてお話しします。離乳食は将来的に大人と同じご飯を食べるための練習であり発達に重要な段階ですが、赤ちゃんの個性によって山あり谷あり・・・。食べ過ぎる子もいれば食べなさ過ぎる子もいるし、赤ちゃんでも食べ物の好き嫌いがあるので離乳食で悩む母親は星の数ほどいると思われます。しかし大人になるまでお乳を飲み続ける人はいないのですから、遅かれ早かれ誰もが必ず離乳食を卒業できるものだと捉えて、前向きに取り組むことが大切だと思います。
 離乳食はたんに乳児から幼児へのワンステップという意味だけでなく、赤ちゃんの成長に伴って母乳だけでは補いきれなくなる栄養素の補完やエネルギー補給のため、生後5~6ヶ月頃に開始することが一般的です。実は、生後半年ほどの赤ちゃんは、鉄欠乏やビタミンD欠乏などに陥りやすいのです。厚生労働省のガイドラインによれば、「首のすわりがしっかりして寝返りができ、5秒以上座れる、スプーンなどを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる(哺乳反射の減弱)、食べ物に興味を示す」といったサインが確認できた時が離乳食の始め時だとされています。我が家の場合、首の座りや寝返りがかなり早く、指を口に入れてしゃぶることも多かったのですが、消化吸収器官の発達を待って赤子が生後5ヶ月に入ったその日に離乳食を開始しました。
 日本の離乳食の開始は一匙の重湯(十倍がゆを漉したもの)か十倍がゆのすり潰しからです。何日も重湯を与えて慣れてきたら次は野菜を一匙から、更に数日して野菜にも慣れてきたら次は絹ごし豆腐を一匙から・・・という調子で、ほんの少量から様子を見ながら量や種類を増やしていきます。最初の2ヶ月は「離乳食初期」と呼ばれ、離乳食は1日に1回だけで、まだ栄養のほとんどを母乳やミルクから摂っていて消化吸収器官が非常に未熟なため、どの食材を与えるにしてもすべてとろとろのポタージュ状にして与えるのです。この時期に与える食材は「エネルギー源(炭水化物系)」、「ビタミン・ミネラル源(野菜・果物系)」、「タンパク質源(豆腐や白身魚系)」をバランス良く用意します。バランスの良い食生活が大切なのは、老いも若いも一緒ですね。
 ところで、離乳食についてお母さん達が回答したアンケートの結果、最も多い悩みが「作るのが大変、負担」というものだったそうです。離乳食初期は一日一回食だったものが、離乳食中期(生後7~8ヶ月頃)には二回食に、離乳食後期(生後9~11ヶ月頃)には三回食にと増えていくと、親の手が取られる時間はかなりのものになってくるからです。大人の食事と別に離乳食を作るだけではなく、食べさせるのにも時間は掛かります。ゆっくり食べる子は、毎食付きっきりで1時間以上掛かるなんていう話もざらなのです。だからお母さんは疲れすぎないように適度に力を抜いて離乳食を作りましょう―――と言いたいところなのですが、力の抜き方には要注意。現代はとにかく「楽をしましょう、市販品に頼りましょう、子供が生きていれば満点です」という耳障りの良い声がSNSを中心に人気や同意を集めやすく、一時的な「楽」のために物事本来の大切な部分が置き去りにされがちですから、SNSなどに惑わされないようにすることがまず重要です。幼児食は子供の味覚芽と消化吸収機能の発達の初段階として一生を左右すると言っても過言ではないほど重要なので、幼児食の間だけは発達段階に合った食材を少しずつ種類を変えながら与え、色々な味を覚えるためにも食材をごった煮状態にしないように丁寧に一つ一つ与えるところからスタートした方が良いと私は考えています。そういう意味で、早い段階から市販のベビーフードに頼りすぎるのはお勧めできません。市販のベビーフードは多種類の食材が混ざっており一つ一つの味や食感が確認しづらい、栄養バランスが取りにくい、味(塩分)が手作りよりも濃い、食品添加物が入っている恐れがあるなどのデメリットが指摘されています。そういったものだということを理解した上で、取り入れるにしても少量、または毎日ではなく多忙時のヘルプとして使用するように上手く付き合いたいものです。ベビーフードに頼らずとも、今は離乳食専用の小分けの冷凍パックや製氷皿を使った裏技などもあるので、冷凍作り置きを上手く利用して手間を減らし、母親にとっても明るく楽しい離乳食ライフを過ごしたいですね!

 

離乳食初期、少し慣れてきた頃の食事内容。
左下から時計回りに、安納芋、絹ごし豆腐、グリーンピース、タマネギ。
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