メガヘルス通信
1年以上前のある日、私はとてもリアルで不思議な夢を見ました。夢の中で私は自分が「妊娠した」と知ったばかりの喜びに溢れていて、それを夢の中では生きている私の祖母に伝えました。
「おばあちゃん、私、妊娠したよ!赤ちゃんを産むんだよ!」
すると、祖母が一喝、
「ダメッ!私が産む!!!」
えっ!どういうこと?なぜおばあちゃんが産むの!?と混乱したところで、混乱のあまり驚きながら私は目を覚ましました。夢の割にはあまりにもリアルな感覚があったので、目を開けてからもベッドの中で混乱が続いていたことが今でもはっきりと思い出されます。私が混乱するのも無理はありません。そのとき、私は自分がそのタイミングで妊娠するとは思ってもいなかったからです。まず妊娠する夢を見たことに驚き、夢の中で大好きなおばあちゃんに会えたことに驚き、そしてなぜかおばあちゃんが私の子供を産むと宣言したことに驚いて、三重の驚きに包まれていたのです。
その夢に出てきた私の祖母は父方の祖母、つまり執行草舟の母で、名を執行千鶴子と言います。生まれてから三ヶ月で母を亡くした私を、文字通り母親代わりになって温かく包み込んで育ててくれました。私が結婚する少し前に亡くなりましたが、晩年に膝が弱くなるなどの衰えを感じてからもずっとこう言ってくれていました。
「私が真由美さんの子供を見てあげてもいいよ。私は孫だって育てたんだから、ひ孫だって育てられるよ。もう体がきついから自分で世話はできないかもしれないけど、誰かに手伝ってもらってどうやったら良いかを言うくらいはできるから。それくらいなら、なんとかね。」
そんな気概のある祖母だったのですが、すでに天寿を全うして天に召されていましたから、私ももう祖母が私の子供の顔を見ることもないなと残念に思っていました。ところがどっこい、夢に出てきた祖母は自分のひ孫の世話をするどころか、自分が産むと宣言したではありませんか。これは何かあると思い、私はその夢を見た日を手帳にメモしておきました。
それからしばらくして、その夢を見たことも忘れた頃、私は自分が本当に妊娠していたことを知りました。しかも、逆算すると丁度その夢を見た日は一般に「着床完了」と言われている日だったということまでわかったのです。いのちが誕生するとき、新しい生命は何日も掛けて卵管内を移動し、子宮の内部にくっついて根を張ることを試みます。この試みにも準備を含めて数日かかることから、着床完了には10日ほどかかるとされています。着床が完了して初めて新しい生命が母体と連結して、妊娠が成立したと言うことができるのです。妊娠がわかってから、私は排卵日から着床完了までの日数を医学的に平均値とされている時間数を計算して、着床完了の日を割り出しました。すると、なんと手帳にメモしてある祖母の夢の日付にぴったりと一致したのです。
この出来事から、生命の誕生には未だに科学を遙かに超越した世界が広がっていることを、私は身をもって体験しました。科学を超越した世界があることを信じる・信じないは個人の自由です。しかし、人知を越えたこのような完璧な一致が実際に起こっていることは、紛れもない事実なのです。
私の出産の前後で、知人の多くも出産しました。そして、その多くのケースが母体や赤ちゃんに危険やトラブルが発生し、あわやというところで医療の力でなんとか無事に産めたというエピソードのあるお産でした。そんな中、私が特に体を鍛えたわけでもなく、沢山歩いたわけでもなく、ましてや流行りのマタニティヨガやマタニティエステに行ったわけでもないのにスムーズな安産と言われる出産ができたことは、祖母の助けがあったとしか考えられません。きっと大正生まれの丈夫な祖母が、私の体を介して息子を産んでくれたのだろうと思うのです。生前に言っていたひ孫のお世話はもうできないけれど、ひ孫を私と一緒に産んでくれた祖母に、今も深く感謝しています。