菌の物語

第10巻
第8話執行草舟と古代のキノコ

執行草舟が作る菌食は、生命エネルギーを燃焼しきって死ぬこと、つまり、「よく死ぬため」の人生を送る助けとなる食品です。精神の器である「肉体」を本来あるべき姿に整え、生命力をより一層燃焼できるよう底辺から支えることを目的としています。

人間を生かすための“エネルギー研究”に主体をおいた執行がまず着目したのが「水の研究」でした。水に生命体を司るエネルギーを回転させる力があることに気づき、「α水」という細胞活性作用のある特殊製法の水を完成させます。そして、世界中の神話を研究してご神木と崇められている樹木のオガをブレンドして「培地」を作り、そこにα水をしみ込ませ、古代の森を再現した環境においてシイタケ菌糸体を育てる研究を行いました。そうしたところ、“生命体として原始的で強靭な力を持つ”シイタケが生えてきたのです。このキノコを、当時、キノコ研究の権威に見てもらったところ、「これは太古の地球に原生していたシイタケの原種の形状であろう」と言われたそうです。弊社が販売する椎茸菌糸体由来加工食品「サンレム」は、この胞子を培養しながら、現在に至っています。

脈々と続く人類の食と健康の歴史を考えるとき、決して無視できない要素が発酵食品(菌食)です。世界中で「酒」を造らなかった民族はひとつもないと言われ、また宗教儀式においても御神酒やパンと葡萄酒など、必ず菌食が存在しています。執行思想における「生命活動」は、「人はパンのみによって生くるにあらず」に表されるように、精神活動を重視していますが、そのためには、それを支える「肉体」をまず賦活させなければなりません。肉体を健康に保つには、菌食の充実した分解・吸収作用によって、穀物、野菜、肉類の栄養素をより高めた形で取り入れ、さらに人体に有害な物質の分解力を高めることが必須です。

しかし、現代の消費文明では工業化した発酵法で作られた菌食が大半を占め、時間をかけて育てた良質の菌食は入手しにくい状況です。執行は1984年の創業以来、シイタケ菌を原料としただけでなく、おがや水の研究、原液の抽出法など、独自の「菌食」の製法により、生命エネルギーに満ちたハイグレードな菌食を生み出したのです。