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メガヘルス通信

2021/09/01Vol.55 産褥期アレコレ~本当のところ~

息子生後0ヶ月。第一子産褥期中のニューボーンフォトは外出せずに自宅で撮影した。

 2回前の記事でも少し触れましたが、今回は知っているようで知らない「産褥期(さんじょくき)」の肝の部分をお伝えしたいと思います。
 まず、産褥期とはなんぞやというと、一般的に産後6~8週間ほどを指し、出産を終えた女性の妊娠によって大幅に変化した子宮や臓器、ホルモン状態などが元の状態に回復するまでの期間のことです。この期間は、回復に専念するために新生児のお世話以外は基本的に寝て過ごすように指導されます。

 病気でもないのに出産だけで約2ヶ月間もほぼ寝たきりになるなんて大げさだなぁ・・・と思うでしょう?しかし、実はここで、「出産によって負った傷や産後に新に発生した体調不良」は含めていないのがミソなのです。例えば普通分娩で問題なく産んでも、多くの女性の場合は子供が出てくる弾みで周囲の肉は裂け、膀胱括約筋などの周辺の筋肉は壊滅的なダメージを受けます。その分の回復は、産褥期だけでは足りません。安産の普通分娩でも出産によるダメージは全治6ヶ月の交通事故と同等と言われています。帝王切開などしようものなら、傷が完全に回復するまでにその倍の1年の月日がかかるそうです。そんなわけで大げさではなく、「傷が完全に癒えるわけではないけれどもひとまず内臓や分泌系が通常運転まで戻るために要する最低限の期間」が2ヶ月の産褥期であると言えます。

 産褥期に回復するはずのダメージはホルモンや臓器に関連しているため、ここで無理をすると産後うつや将来の更年期障害の悪化など、後々まで響く影響が出てしまいますから、無理は禁物です。昔から「産後の床上げ」という言葉があり、産後は布団を敷きっぱなしにして休みながら過ごして1ヶ月ほど経ってからやっと布団を上げる(しまう)ことを指しているように、足腰の強靱だった昔の人であろうがなんであろうが、絶対に休まなければいけない期間なのです。

 ただ、そうはいっても個人差がかなりある、と実感しています。私のように産後の回復がかなり早いタイプは早い段階から少しずつ体を動かしていった方が体調が良くなるし、逆に出産で相当疲労困憊してしまったとか元々治りが遅い人であれば、2ヶ月と言わず3ヶ月でも6ヶ月でも横になった方が良いと思います。色々な方を見ていると、特に産後6ヶ月まではホルモンの変化の影響にまだまだ強く晒されている印象ですから、思わぬ変化が多々あります。産褥期を決まり事と考えるのではなく、自分の体の変化を見極め、体と相談しながら過ごす期間としてそれぞれの心地よい過ごし方が出来ると良いですね。

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