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メガヘルス通信

2019/02/26Vol.4 哲学は対話から生まれる

 前回ご案内した「草舟語録」の宇宙ヴィーナスのたまごは楽しんで頂けていますでしょうか。私の今日の一言は真32番「プラトンの昔から、真理に近いものを語ろうとするときにはその多くが問答体になっているんだよ。それは真理が流動体だからなんだ。」でした。
 プラトンはギリシャの哲学者で、ソクラテスに学び、アリストテレスを弟子に持ち、その思想は西洋哲学の源流と言われています。ソクラテスが哲学の本質は対話にあると考えて著作を著さなかった一方、弟子プラトンは対話形式の著作を残したのです。特にその思想の中心であるイデア論においては、対話法を思惟の面でも重視しました。つまり、真理をも真理たらしめる原因である「善のイデア」は例えると太陽のようなもので、学術的考察によらず対話を通して観得されるのでなければならないと考えたのです。
 そういえば、私の父である執行草舟も常に人との対話の時間を重んじ、たとえ相手が子供であっても手を抜くことはありませんでした。父との会話は宇宙・生命・文明に関する話が主でしたから、幼心には「お父さんの言っていることはさっぱりわからない」というのが正直なところでした。ところが、「わからぬがよろしい」とはよく言ったもので、わからないなりに考え始めるところから、私の「哲学すること」が始まったように思います。わからないことに挑戦し続ける生き方を、これからもして行きたいものです。


プラトンの絵(執行真由美 画)
ラファエロによる「アテネの学堂」の一部を模写
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