メガヘルス通信
最近、スペインで発行されている日本文化に関する雑誌「eikyō influencias japonesas」にて戸嶋靖昌を紹介する記事が掲載されました。(記事の日本語訳はこちら)
今年の三月、この記事の取材を兼ねて弊館を訪れて下さったのがサラマンカ大学 大学院で学ぶハイメ・ロメロ・レオさんでした。当時、日本文化を学ぶために日本に留学していた彼は、禅などの精神文化にも深い理解を示す知的な青年でした。
そんな彼がこの記事の中で取り上げた戸嶋の言葉の一つが、「細部にこだわったレアルさではなく、自然の中の重みみたいなレアルを僕は探しています」だったのです。「自然の中の重みみたいなレアル」――これこそが戸嶋靖昌の絵画が見る者の魂を揺さぶり、抉り、時として対象の精神が画面から浮かび上がって来るかのように感じさせる源です。言い換えれば、戸嶋が描き切ろうとして生涯を費やした自然とその生命とは、それほどまでに重みのあるものだということでもあるのです。その「重み」への挑戦は、禅や茶の湯のような日本文化が挑んできたものとも共通項があるように思えてなりません。