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イギリス人の社会学者 マイケル・ヤングによって1958年に著され、当時の英国でベストセラー、七か国語にも翻訳された名著『メリトクラシー』が、この度講談社エディトリアルから復刊されることとなり、執行草舟の解説も収録して装い新たに2021年7月下旬に発売されます。(¥2,273(税別予価)ISBN: 978-4-86-677089-5、280ページ )
「メリトクラシー」という言葉は、「能力主義」「実力主義」とも言い換えられますが、この概念を社会現象として初めて社会学的に説明し、著作物として発表したのが、マイケル・ヤングです。この概念を通じて、民主主義の根幹をなす平等と能力主義のもつ美徳と悪徳、その本質をえぐり出す名著が約40年を経て復刊されることとなります。
これからの文明を生き抜く真の能力主義とは?―――現代社会にも通ずる問いを、『メリトクラシー』の読書を通じて、ぜひ思索してみてください。
帯文:
「本書は確かに古い。(中略)まだ第二次大戦後の戦後民主主義の出発の時代の書物である。だからこそ、著者はその将来に本質的な夢を感じ、またその本質的悪徳に気づいていたに違いない。民主主義の『初心』が本書を生み出したと言っても過言ではない。いま我々は初心に戻らなければならない。そうしなければ現代人は、もう未来を創る能力を失うだろう。」 ――― 執行草舟「解説―復刊に寄せて」より
著者プロフィール:
マイケル・ヤング(1915-2002)。イギリスの社会学者、社会活動家、政治家。ダーティントン男爵の称号を持ち、「メリトクラシー(能力主義、業績主義)」という造語の発明者として知られる。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで経済学を学び、のちに法廷弁護士の資格も取得。1945年の総選挙の際に労働党のマニフェスト「未来に立ち向かおう(Let Us Face the Future)」を起草し、クレメント・アトリー率いる労働党政権誕生の一翼を担った。政権の職位を辞してからは消費者組合、オープン大学、社会起業家養成学校など多数の組織を設立して社会改革に取り組むとともに、教育の分野ではチャーチル・カレッジのフェロー、バークベック・カレッジの学長を務めた。
【目次】
第一部:エリートの興隆
第一章 社会諸勢力の衝突
第二章 総合中等学校の脅威
第三章 現代教育のはじまり
第四章 年功よりメリットへ
第二部:下層階級の衰微
第五章 労働者の地位
第六章 労働運動の衰退
第七章 金持ちと貧乏人
第八章 危機
解説――復刊に寄せて 執行草舟