メガヘルス通信
さあ、あなたの目の前の赤ちゃんが家の床の上で転んで、突然泣き始めました!あなたならどうする?
この答えに正解はありません。駆け寄る人が多いかもしれませんね。私はというと、切迫した明らかな危険がない限り、まずは状況を見ます。そして、泣き続ける場合にはゆっくりと明るい調子で声を掛けます。「大丈夫、大丈夫」や「お母さんはここに居るから安心してね」といった声掛けです。さらに、近くに居れば背中をポンポンと軽く触って励まします。そして、それでもぐずるか赤ちゃんの方から泣きながらしがみつきに来た場合、初めて抱き起こしたり抱き上げたりするのです。それらの動作は努めてゆっくりと、慌てないように気をつけているつもりです。
私がこのように対応するのには、二つの理由があります。
まず一つは、息子が新生児の頃、泣いたらすぐに赤子の要求を満たすという行動を繰り返していたところ、親に何かを伝える=泣くに直結してしまったことの反省からです。その状況を踏まえて生後一ヶ月検診で医師がくれたアドバイスは、「赤ちゃんによっぽどのことがない限りは、ちょっと泣いていても様子見で大丈夫。赤ちゃんは本当に必要なときにはわかるように泣くから」というものでした。この言葉はストンと私の肚に落ちました。確かに、赤ちゃんの泣き方も色々あって、本気で必死の形相で泣き続けるときもあれば、一時的にギャーと泣いてケロッとすることもあり、そうかと思えばフニャーと文句を言っているだけのような泣き方もあります。その緊急度をまず見分けて、緊急度の低い時は「わかっているよ」という態度や声掛けを近くで示すだけにしたところ、赤ちゃんはだんだんと親が近くで見守っていてくれさえすれば、自分で自分の機嫌を直したり問題を解決することができるようにセルフコントロールの方法を学んでいってくれるということがわかりました。
そして二つ目の理由は、痛みや不快感を「大げさにしない」ということです。これは脳科学でも重要なことで、痛みや不快感のある時に親の方が慌てて駆け寄ったり驚きの声を上げたりすると、赤ちゃんは痛みがそれほどでなくても「ああ、これはお母さんが大騒ぎするほど大変なことなんだ、次に転んだときにも泣かなくちゃいけない」と学習してしまうのだそうです。もちろん、親としては子供の転ぶ姿を見るとハッとするものですが、明らかに怪我をしたりしていない限りは、子供が大ごとだと思わないように気をつけ、ゆったりと安心させるように寄り添うようにしたいと考えています。
ただし、目に見える怪我や病的な異変があったときには、子供を驚かせないようにしながらも素早く医療機関に繋ぎましょう。また目に見えない異変としては、例えば熱が高い、明らかに食事がとれていない、頭を打ったときに泣き声を発さないといったケースもあります。子供の自律や成長を助けながらも万が一のことも予測しながら行動したいですね。