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メガヘルス通信

2019/12/21Vol.19 クリスマスを楽しみに ~招かれる羊飼いになる~

「羊飼い」(阿部平臣 画)
今回の展覧会「時の在る風景」展で展示されています。

 クリスマス前のこの季節、皆様はいかがお過ごしでしょうか。私は幼少期からミッション校に通っていたので、クリスマスの前の季節、即ち「待降節」と呼ばれる今の時期には毎日アドヴェント・カレンダーの窓を開き、素敵なことが起こる予感を胸にワクワクしながらその日を待っていたものです。
 本当のクリスマス・イヴの日―イエス・キリスト誕生の夜―に、その場にご招待を受けた人たちがいたのをご存じでしょうか。その情景を福音記者のルカはこのように記しています。 
 
 その地方で羊飼いたちが野宿をしながら、夜通し羊の群れの番をしていた。 すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた。 天使は言った。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。 今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。 あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」(日本聖書協会『聖書 新共同訳』ルカによる福音書2:8-12) 
 
 ご招待を受けたのは、羊飼いたちでした。ここで、「あら?東方の三博士じゃないの?」と思う方もいらっしゃるかもしれません。確かに、天文学にも通じていた東方の三博士は特別な星の出現を見て、待ちわびていた救世主の誕生を意味すると気づき、救世主に会うために贈り物を携えて旅をしてきたことが福音書に書かれています。ご招待を受けたというよりは、どうしてもお祝いしたくて押しかけたとでもいえるでしょうか。正真正銘のご招待を受けたのは、地位のある者たちではなく、貧しい上に当時の社会で被差別的職業にあった羊飼いたちでした。羊飼いたちはその日も屋外で「夜通し羊の群れの番をしていた」くらいですから、羊の獣臭さと外のほこりとにまみれた人たちで、当時の一般の人が誕生日に招待するような相手ではありません。
 そんな羊飼いたちが招待されたことに、キリスト教における救いの本質があります。つまり、この世の感覚では不幸の代名詞のように最底辺の扱いを受け、希望も失ったような人にこそ救いへの道の最初の招待が来るということです。一所懸命自らの仕事に励めば励むほど羊飼いたちは臭くなり嫌われ者になるのですから、誕生日に招待されたこともなかったことでしょう。そんな彼らが天使の言葉で救い主の誕生日に招待されたとき、どんな気持ちでベツレヘムの馬小屋まで向かったのか、想像してみてください。もちろん、びっくりして、半信半疑な気持ちもあったでしょう。しかし、それを遙かに上回る喜びと経験したことのないワクワクした気持ちで、彼らの不幸が一転して幸福に変わったに違いありません。
 執行草舟も、自らの人生を体当たりで生きて他者から見れば不幸に突入していくくらいの方が、結果的には自分自身にとっての幸福を掴むことに繋がるということを述べています。私たちもこのクリスマスのストーリーを思い起こしながら、他者からの評価抜きに、一人一人が自分に与えられたことに一所懸命取り組み、本当の幸福に招かれることを楽しみにこの期間を過ごしていきたいですね。私たちを幸福に招くのは他者ではなく、私たちの真摯な生き方を見ている天使たちなのですから。

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