Recommendation

おすすめ情報

2023.03.14

「歴史は発酵がつくる」

えっ!?人間が歴史を作っているのでは!?と疑問に思われるかもしれません。一体どういうことなのでしょう。

 

実は菌食という発酵文化の歴史は、旧石器時代にまで遡ります。狩猟中心の生活から、土器の発明によって、食料の備蓄やアルコールの熟成が可能となり、その過程で発酵食品がすでに作られ始めたと言われています。発酵作用によって、加熱したのと同じくらい食べ物は柔らかく、消化しやすくなる。と同時に、腐敗や汚染を防ぐ保存食となったのです。

 

こうした保存食の発達とともに、人類は、特定の地域に集団で定住し、社会を構成するようになります。安定的な食料供給の必要性に駆られ、ついに農業文明へと移行します。そこで改めて、人類は菌食の重要性に気付くのです。農業文明の始めに作られたとされる食用植物は、穀物や葡萄が主でした。ビールやパンとなる穀物、ワインとなる葡萄など、すべて発酵させて作る菌食のための材料です。

 

まさに聖書の登場人物のノアは地上に降り立ってから最初に神への祈りを捧げ、その次には葡萄の苗を植えました。腹の足しになる食物を作るのではなく、ワインを作るための材料を植えたのです。

 

こうして人類は、発酵食の重要性に気付き、菌食を生み出し、その菌食文化が人間の歴史を作って行きます。いみじくも発酵文化の第一人者のサンダー・キャッツも「人間が発酵を発明したのではない。発酵が人間をつくったのだ」と述べているほど――。

 

このように歴史的にみても、発酵食品、つまり菌食が人間を生かすのにどれほど大事なのかが伺えます。菌食を摂ることが、人間の文明の基盤であることは間違いありません。